2020年の春以降、各国の異例な金融緩和と財政政策が効果を発揮し、株価がリバウンド基調になったころから言われ続けているフレーズです。
感覚的には全くその通り。
ただ、
こう聞かれると、クリアに提示できるものが見つけられていませんでした。
ところが「Current Market Valuation(CMV)」という米国の相場環境を判定するサイトを見ていたら、良い指標がありました。
それが「バフェット指標」です。
ということで、今回はバフェット指標の概要と、CMVの分析結果から「現在の株価が実体経済を反映しているか」について考えたいと思います。
最後は少し怖い話です。
株価の割高・割安を判断する「バフェット指標」
バフェット指標は名前の通り、あの「相場の神様」ウォーレン・バフェットが好んで使うとされているマクロ経済指標です。
その計算自体は極めてシンプルで、分析したい株式市場の時価総額を名目GDPで割ってパーセント表記をしたものです。
日本でいえば東証1部・2部とマザーズの上場企業の合計になりそうですが、米国では「Wilshire 5000指数」を使って時価総額を算出しています。
数値の解釈は、100%を超えると割高、100%を下回ると割安とされています。
1点、このバフェット指標には重大な弱点があります。
それは分析の対象が「現在の時価総額」と「前四半期のGDP」ということ。
時期が近いとはいえ、お互いの時間軸が揃っていない点はマイナスです。
ともあれ、相場の神様が気に入っているというだけでも無視はできない指標です。
前置きはここまで。現在のバフェット指標を見てみましょう。
現在値は歴史的な割高水準、さらに・・・?
CMVが算出したバフェット指標は、11月12日時点で203%。
過去にこのレベルまで上昇したことはありません。
これだけ見ても歴史的な過大評価の水準。
日本のメディアであれば、「史上初の200%超え!株価は暴落する!!」などと大騒ぎしそうなものですが、CMVはそれぐらいで鬼の首を取ったようなことはしません。
その理由を超訳すると「テクノロジーの進歩は指数関数的な経済成長を促すので、将来の成長への期待が足元の経済よりも上振れしていくのは合理的」というものです。
つまり、このパーセンテージが右肩上がりに増えること自体はさほど驚く状況ではないのだそうです。
代わりにCVMがメインのデータとして示したのは、「バフェット指標とトレンドラインの値の差」です。ちょっと分かりづらいですが、「精度が高い分析をしてみたよ」ということです。
そのグラフがこちら。

これまで最も米国株が過大評価されていたのはドットコムバブルの時期。
バフェット指標とトレンドラインとの差は71%に達しています。
結果を見ると、まさにこの地点がバブルのピーク。
21世紀に入るとともにドットコムバブルは崩壊し、その中心地だったナスダックは2年半で80%近く下落しました。
そして現在、トレンドラインとの差は66%。
「超過大評価」のゾーンに入ったのは、1950年から数えても2回目の出来事です。
【1月13日追記】
1月7日に最新データが更新されていました。
2カ月前、トレンドラインとの差は66%でしたが、12月に入ってドットコムバブルの最高値を更新。その後も上昇を続け、最新データではバフェット指標とトレンドラインの差は81%という強烈な過大評価水準に入っています。
ちなみにドットコムバブルの崩壊は、FRBによる利上げが原因の1つとされています。
今回のコロナバブルもハードランディングの結末を迎えるかどうか、今後の金融政策の舵取りが注目されます。