いきなりですが、サンプルのチャートを見ていただきたいと思います。

よく見ると、1本1本の棒グラフが微妙に違うことがお分かりいただけるかと思います。
この1本が「ローソク足」と呼ばれるものです。
日本で開発され、世界でも広く使われているローソク足は、チャート分析の基本中の基本。
そこで今回は、ローソク足の見方や基本型について解説します。
ローソク足の見方

ローソク足は四本値(よんほんね)と呼ばる「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの値段から構成されています。
1日の値段を表すローソク足の場合、四本値は以下の値段を指します。
始値 | 1日の最初の値段 |
---|---|
終値 | 1日の最後の値段 |
高値 | 1日で最も高かったときの値段 |
安値 | 1日で最も安かったときの値段 |
始値より終値が高いローソク足は「陽線」、逆に安いローソク足は「陰線」と呼ばれ、一般的には青/赤や緑/赤で色分けされています。
四本値のうち、始値と終値の間は「実体」、高値と実体の間は「上ヒゲ」、安値と実体の間は「下ヒゲ」と呼ばれます。
ローソク足には相場の展開が凝縮されている
言葉だけでは分かりにくいので、具体的な例で見てみましょう。
200円でスタート後、前日よりやや値上がりしたものの、利益確定の売りが出て前日終値を下回る水準に。
それでも値下がりは続くことなく、今度は買いが優勢に。終盤は前日終値を大きく上回る550円付近まで値上がりし、最終的には若干値を戻して450円でフィニッシュ。
そんな相場展開をコンパクトにまとめたものがローソク足です。
下のスライドからも凝縮している感はお分かりいただけると思います。

ここまでが、ローソク足自体の説明です。
次からは、相場の勢いを読み解くのに役立つローソク足の基本型をご紹介します。
ローソク足の9つの基本型
ローソク足のパターンは細かく分けると20種類は超えてきますが、ここでは9つの基本型を取り上げます。

ローソク足の形は以下の要素で決まります。
- ローソク足の実体(始値と終値)が陽線か陰線か
- 陽線 or 陰線の長さはどのぐらいか
- ヒゲ(高値と安値)はどんな付き方をしているか
これは特に覚える必要はなく、ローソク足のパターンと意味さえ把握しておけばOKです。
陽線4パターンの意味
まずは前回の終値よりも高い値段で終わったときの「陽線」のパターンです。
大陽線

始値をほぼ下回ることなく、一本調子で上昇が続いたときに出現するのが大陽線。勢いのある買いを反映していて、引き続き上昇する可能性を示唆するローソク足です。
大陽線がチャートの下落終盤で出てくると、相場が反転上昇に転じることが期待されます。
小陽線

始値よりは高く終わったものの上昇幅は小さく、場中の振り幅も少なかったような相場で出現するのが小陽線です。
相場は売り買いが拮抗する状況。これだけで次に上昇するか下落するか予想するのは難しく、様子見の環境を表しています。
下ヒゲ陽線

始値から一時は大きく値を下げたものの、最終的には値を戻して前回の終値を上回った相場で出現するのが下ヒゲ陽線です。
下ヒゲ陽線は相場の転換を示唆する重要なローソク足。
下げ相場で出ると売りの力が弱まった可能性が示唆され、その後は上昇に転じることが多いです。
一方、下ヒゲ陽線は売りの力が一定程度あることも意味しています。上げ相場の場合は、下落に転じるサインになることがあるので注意が必要です。
上ヒゲ陽線

始値から一時は大きく値を上げたものの、最終的には値を戻して前回の終値をやや上回った相場で出現するのが上ヒゲ陽線です。
上ヒゲ陽線も相場の転換を示唆しています。上げ相場で出ると、買いの力が弱まった可能性が示唆され、その後は下落に転じることがあります。
また、上ヒゲ陽線は一定程度の買い勢力が存在していることも意味しているので、下げ相場の場合は上昇に転じるサインになることがあります。
陰線4パターンの意味
続いて、前回の終値よりも安い値段で終わったときの「陰線」のパターンを見ていきましょう。原理はほぼ同じです。
大陰線

始値をほぼ上回ることなく、一本調子で下落が続いたときに出現するのが大陰線です。
大陰線は勢いのある売りを反映していて、引き続き下落する可能性を示唆しています。
特に上昇相場の終盤で出た大陰線は、相場が反転下落に転じるサインになることが多いです。
小陰線

始値より安く終わったものの、場中の振り幅が少なかったような相場で出現するのが小陰線です。
こちらも小陽線と同じように、売り買いが拮抗する相場環境を示しています。
下ヒゲ陰線

前回の終値は下回ったものの、一時の大きな下げをある程度取り戻した相場で出現するのが下ヒゲ陰線です。
下ヒゲ陰線も、相場の転換を示唆する重要なローソク足になります。
これが下げ相場で出ると売りの力が弱まった可能性が示唆され、その後は上昇に転じることがあります。ただし下ヒゲ陽線よりも買いのパワーは弱めです。
下ヒゲを出せるだけの売り勢力が存在していることも意味しているので、上げ相場の場合は下落に転じるサインになることがあります。
上ヒゲ陰線

始値から一時は大きく値を上げたものの、最終的には押し戻され、前回の終値をやや下回った相場で出現するのが上ヒゲ陰線です。
上ヒゲ陽線も長いヒゲのローソク足。ご多分に漏れず、相場の転換を示唆しています。上げ相場で出現する上ヒゲ陰線は、買いの力が弱まった可能性を示唆しています。売りのパワーは上ヒゲ陽線よりも強く、こちらの方が下落に転じる可能性は高いです。
一方、下げ相場の場合に上昇に転じるサインになることもありますが、パワーはやや弱めといえるでしょう。
寄引同事線

始値と終値が同じ相場のときに出現するのが寄引同事線。
ヒゲの形によりいくつか種類がありますが、ここでは上ヒゲ・下ヒゲともに短い「十字線」を示しています。
この十字線、一見すると「凪(なぎ)」の相場のように思われますが、実は売りと買いが激しく拮抗しているときに出現します。
例えば上昇相場で出現した場合、それまで買いが圧倒的だった勢いが落ち、売りがイーブンになるまで力をつけてきたことを示唆しており、その後は売りが強くなることがあります。
「値動きが少なくて安心」と思ってしまいがちですが、意外に要注意なローソク足です。
おわりに
今回は、チャート分析の一丁目一番地ともいえるローソク足の見方や基本型について解説しました。
連続したローソク足のパターンを用いることで、より本格的な分析・予測は可能になりますが、まずは1本のローソク足の「意味」を確実に把握しておきましょう。