株・FXのはじめかた

ビギナー必見!FXのメリットとリスク8選

FXの基礎知識

FXは「外国為替証拠金取引(Foreign Exchange)」の略称で、「ドルと円」「ユーロとドル」など、2種類の通貨の組み合わせ(通貨ペア)を売買する投資商品です。

現在、FXはカジュアルに参加できる環境が整ってきましたが、ハイリスク・ハイリターンな投資商品の代表格ともいえる存在だけに、一定の注意も必要です。

そこで今回は、FXのメリットとリスクを解説。

FXデビューを検討している人はもちろんのこと、基礎知識をうろ覚えのままデビューを果たしている人にもチェックしていただきたいエントリーです。

少額での取引が可能

FXでは「証拠金」という仕組みを使うことによって、少ない元手で多くの通貨を売買することができます。
これは資金力が少ない投資家にとって大きなメリットです。

やや長くなりますが、何故そんなことができるかを説明します。
下のスライドをご覧ください。

株とFXの違い

株式投資では売買が成立(約定)してから2営業日後に株が受け渡しされ、その後は晴れて自分のモノになります。
一方のFXでは通貨の受け渡しは行われず、「売買した体裁」が取られるだけです。

この前提によって、金銭のやり取りについても違いが出てきます。

100万円に相当する株を買う場合は、額面通りの金額が口座から引かれ、101万円で売ったらその金額が入金されます。
これで差し引き1万円のプラス。普通のモノの売買と同じです。

FXでは通貨を売買した体裁を取るだけなので、例えば1ドル=100円で1万ドルを買うときに必要な100万円を払わなくてもOK。
一定額の証拠金が口座にあれば、100万円分のドルを買ったことにできます。

そして1ドル=101円になったときに売ったことにすれば101万円になります。
FXの仕組みでは、「100万円使って買う→売って101万円もらう」というお金の動きにはならず、差額の「1万円」だけが動くのです。
この仕組みを「差金決済」と呼びます。

結局いくら必要なの?という点ですが、国内で登録されているFX会社の口座を使う場合、証拠金の25倍までの取引が可能です。

先ほどの例でいうと、1ドル=100円でドル円を1万通貨(=1万ドル)買うには最低4万円あればOK。
言い換えると、たった4万円で100万円分の取引ができるいうことです。

取引金額に対する証拠金の倍率は、「レバレッジ」と呼ばれています。
よくFXトレーダーの間では「レバ10倍」「フルレバ」といったワードが出てきますが、絵にするとこんな感じです。

レバレッジと証拠金

この「レバレッジ1倍」は外貨預金と同じことなので、せっかくFXをやるなら少しは倍率を上げた方が良いでしょう。

かといって「フルレバ」はリスクも大きいので、自分のリスク許容度に応じたレバレッジでトレードに臨むことが勧められます。

土日以外は24時間トレードが可能

株の場合は東京証券取引所などの特定の取引所で売買されるため、1日の間で取引できない時間帯があり、祝日もお休みです。

一方の外国為替市場はまさに「眠らぬ市場」。土日以外は24時間動いています。
FXが日本で人気を博している大きな理由として、仕事が終わった後など好きなタイミングで相場に参加できる点が挙げられます。
かくいう私がFXを始めたのも「いつでもトレード可能」の魅力が決定打になりました。

「スワップポイント」で利息が毎日発生する

FXは2種類の通貨ペアの取引ですが、各国で採用されている政策金利はさまざまです。

例えば日本の政策金利は-0.10%、アメリカは0.25%ですが(2020年9月現在)、ドル円を「買い」で入ると、政策金利が高い方の通貨を持つことになります。

この場合、金利差を反映した「スワップポイント」が利益として口座に毎日入ってきます。

FXではレバレッジを効かせたときの価格差で生じる損益が強調されることも多いですが、このスワップポイントは長い目で見れば無視できない要素です。

なお、政策金利が低い方の通貨を「買い」で入った場合にはマイナスのスワップポイントが発生し、ポイント分のお金が毎日出ていきます。つまり、ドル円でいうと「円高」に賭けた場合は、利息を毎日払う必要が出てくるのです。

「買い」「売り」どちらからも取引できる

取引する通貨ペアを「ドル円」にした場合、ドル高円安で利益を出したい場合は「買い」、ドル安円高で利益を出したい場合は「売り」のどちらからでも取引を始めることができます。

最初のうちは意外に混乱しやすいポイントですが、通貨ペアで最初に出てくる通貨(「ドル円」なら「ドル」)の上昇=買い、下落=売りと覚えていただきたいと思います。



通貨ペアの種類が豊富

円、米ドル、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アフリカランド・・・。
FXの世界では比較的メジャーな通貨です。

取り扱い通貨の種類は取引会社によって違いますが、主な会社なら20種類以上は取引可能なので、トレードの選択肢は豊富。
おまけに普通は馴染みのない国の動向も気になってくるので、気がつけば国際派になれるというメリットも(おそらく)あります。

取引コストが安い

ほとんどのFX会社は、通貨ペアの売買手数料を無料にしています。
代わりに、通貨を買うときと売るときのレートには差が付けられています。

これを「スプレッド」と呼びます。
あまりなじみのない言葉なので、ドル円を例にして見てみましょう。

スプレッドの説明

右側のASKに表示されている数字が買いの場合のレートで、左側の「BID」は売りの場合のレートです。

表示を言い換えると、買いは「104円31.5銭」、売りは「104円31.3銭」。
差額は0.2銭なので、1万ドル分を買った瞬間には20円が含み損になっています。
これがFX会社の手数料的な位置付けです。

私がFXを始めたころ、ドル円のスプレッドは4銭ぐらいだったと記憶しています。
最近では、例に挙げた「ドル円スプレッド0.2銭」を採用する会社も多く、コスト面では相当に恵まれた時代になりました。

価格変動リスクが大きい

FXではポジションを持った方向にレートが動けば大きな利益が期待できる反面、逆方向の変動で多大な損失を被るおそれがあります。

そのため、証拠金を一定の割合で下回った場合には、強制的に保有しているポジションは自動的に決済されます。
これは「ロスカット」と呼ばれますが、証拠金を下回った時点でロスカットする会社から若干の余裕を持たせてくれる会社まで、発動条件は各社で異なります。

一方、為替相場の動いていない土日に重大なニュースがあった場合や、平日でも中央銀行の予期しない政策変更などがあった場合は、通貨レートが最新の価格から大きく上下することがあります。

その場合はロスカット基準からかけ離れたレートで決済されてしまい、口座が「ゼロ」どころか場合によっては「マイナス」になり、追加で口座に入金する必要が生じる可能性もあります。

価格急変動時のロスカット

なお、海外で運営されているFX会社には「ゼロカット」というルールを採用しているところもあります。

これはロスカットされた際の口座残高がマイナスになっても追加入金を求めないというルールです。

このルールだけを見ると海外FX会社に分があるように思えますが、出金できない等のトラブル事例が数多く報告されているので、会社選びは慎重になる必要があります。

スプレッドが大幅に拡大することがある

世界中が注目する指標の前後や取引量が少ない時間帯には「買」と「売」のスプレッドが想定以上に拡大することがあります。

レバレッジを効かせて証拠金ギリギリのポジションを保有している場合、スプレッドの拡大によってロスカットされることもしばしば。
これをやられるとメンタル的にもダメージが大きいので、余裕をもった資金管理が重要になります。

番外編 不眠リスク

24時間トレードできるのはメリットである反面、夜中になってもレートが気になる・・・という事態はよくある話です。

副業のつもりで始めたはいいけれど、眠れなくなって本業にも悪影響が出ては本末転倒。特にFXデビューしたての頃は要注意です。

おわりに

今回は、FXビギナーのための基礎知識として、8つのポイントを解説しました。

価格変動リスクのパートでは怖い話もしましたが、そのリスクを上回るメリットがあることも事実。

FXデビューを検討している人は、メリットとリスクのそれぞれについて把握した上で、通貨の世界に飛び込むどうかを考えてみてはいかがでしょうか。