株・FXのはじめかた

株式投資の「本質」を考えてみる

投資デビューを考えるときに、真っ先に候補に挙がる株式投資。
とりあえず株を始めてみるのも良いですが、過去のエントリーでご紹介したように、決してリスクの低い投資先ではありません。

せっかくリスクを取って自分の資金を投下するわけですから、株のキホンはしっかりと押さえて臨みたいところ。
ということで今回は、株式投資の仕組みについて解説します。

株とは何か?

まずは大前提となる「株とは何か」ということについて。
金融庁が素晴らしい用語解説をされていたので、下記に引用します。

株式会社を設立したり、会社の活動資金を集めるために発行されるもので、証券会社を通じて購入できます。株式を持つと、その会社が上げた利益に応じて配当などを受けることができます。(金融庁「基礎から学べる金融ガイド」)

「ユ●クロの株価が今日は○円だった」
株の話題といえば最もよく目にするのは株価のニュースですが、それは証券会社を通じて売り買いされるときに付く値段の話だけで、あくまで株の一側面にすぎません。

株は企業の重要な資金調達手段

スケールが一気に小さくなりますが、身近な話をします。
私は数年前に仲間うちで会社を立ち上げたのですが、事務所を借りたり外注を頼んだりと、売り上げが立つ前から何かにつけお金が必要になります。

銀行は貸してくれないの?

そう思うかもしれません。

銀行が腰を上げてくれるのは、実質的に会社が動き出してからになります。
事務所の敷金やPC、デスク、各種消耗品などなど、創業準備にかかる費用を事前に貸してはくれません。

したがって、創業準備期と創業初期の数ヶ月は自前のお金でしのぐ必要があるのです。

私たちの場合は創業メンバーが均等にお金を出し合ったわけですが、その現金を誰かの銀行口座に入れて「この口座、会社用ね」というわけにはいきません。

そこで登場するのが株式です。
わが零細企業は生意気にも(?)株を発行。
出し合ったお金の総額から株価を決め、株と引き換えという形で手持ちの拠出金が晴れて「会社の活動資金」になったわけです。

株主=企業オーナー。意思決定にも関与できる

さて、ここから話題を株式投資にもっていくため、フィクションの話をします。

仲間うちで立ち上げた会社は事業が順調に進み、全国展開や世界進出も視野に入ってきました。
今後は人材や職務スペースの確保が必要になりますし、生産ラインも拡大しなければいけません。
このような施策を実行するには、従来の企業活動とはケタ違いの資金が必要になります。

銀行は貸してくれないの?

そう思うかもしれません。

銀行は貸してくれるかもしれませんが、調達した資金が大きくなる分、手数料や金利も多額になります。

であれば、株式を不特定多数に買ってもらって広く活動資金を集め、儲かったら配当として還元する方式がリーズナブルです。
これが「上場」です。

晴れて上場を果たした企業の株は、シンプルに示すと以下のような流れで取引されます。

上場株式の取引の仕組み

私たち個人投資家の出番はここから。
口座を開設した証券会社のプラットフォームを使い、成長が見込まれる企業の株を売買するわけです。

晴れて株をゲットしたあなたは、れっきとした「株主」。

部分的ではあってもオーナーになり、株主総会で議決権の行使を通じて株を所有した会社の意思決定に関わることもできるのです。

株式投資による利益は2種類ある

株を保有した場合は、2種類の利益が期待できます。

  1. インカムゲイン
  2. キャピタルゲイン

①インカムゲイン

インカムゲインは、先ほどまでつらつらと述べてきた「企業の資金調達」に関連する利益です。

お金に困っている会社に資金を出してあげるわけですから、事業が上手くいったら分け前をもらわないと筋が通りません。

これがいわゆる「配当」です。

東証一部上場銘柄の平均利回りは2%前半。

つまり100万円分の株を買ったら、1年で102万円になるわけです。

この額は十分と感じるでしょうか、それとも少ないでしょうか?

なお、配当だけでなく、近年注目されている「株主優待」もインカムゲインの1つのかたちといえるでしょう。

②キャピタルゲイン

「ユ●クロの株価が今日は○円だった」

この冒頭の発言はまさに、キャピタルゲインの話題です。

つまり、買った株を売却して得た利益。これがキャピタルゲインです。

1万円の価格がついた銘柄を100株買った

1万1,000円になったので売った

これで10万円のキャピタルゲインが得られたわけです(証券会社への手数料除く)。

株価の10%上昇というのは短期間で起こりえることなので、利益の大きさからいうとインカムゲインのことは考える必要もないのでは・・・?と思ってしまうかもしれません。

しかし、株価が上がるとは限らないことを忘れてはいけません。

おわりに

今回は株式投資の本質や、インカムゲイン、キャピタルゲインという2種類の利益について説明しました。

よく聞く「株で大儲け」という話のほとんどはキャピタルゲインによるもの。

切った張ったのバクチに成功したようなものです。

もちろんキャピタルゲインを狙った株取引にも賛成の立場ですが、株の本質は「企業の資金調達」の支援。

着実にインカムゲインを得ながら、“自分が所有する”企業の成長ぶりを見守るのがスタンダードな投資家の「成功」なのです。