株・FXのはじめかた

今さら聞けないNISAの仕組みと「2024年問題」

投資デビューがまだという人も、「NISA(少額投資非課税制度)」という言葉は知っていると思います。

マイボイスコム株式会社の調査によると、用語の認知率は実に8割オーバー。
投資をしていない人が6割を占める調査でこの数字なので、なかなかの浸透度といえるでしょう。

ところが、制度の内容まで詳しく知っている人は4人に1人もおらず、さらに「NISAのことを知っている」と回答した人のうち、2024年から制度が変わることを知っている人は1割にも満たないという結果でした。

そこで今回は、現行NISAの概要をあらためて見ながら、新制度の変更ポイントについて解説します。
※このエントリーでは「一般NISA」に限定し、「つみたてNISA」には言及していません。

現行NISAの概要

現行NISAの詳細な仕組みは金融庁や各証券会社などのHPで解説されているので、ここでは簡単にポイントをまとめました。

現行NISAの仕組み

NISA口座で購入した金融商品は、年間120万円までの範囲内であれば、5年目までに配当や売却益が出ても税金を徴収されることはありません。

仮に120万円の株を220万円で売却した場合、利益は100万円になります。
通常は税金で約20万円を徴収されるところ、まるまる100万円が手元に残るわけですから、これを利用しない手はないですね。

NISAの主な注意点はこちらです。

1人1口座まで

複数の証券会社でNISA口座を作ることはできません。
1年単位で会社の変更はできますが、変更前にNISA口座で購入した株などはロールオーバー(非課税期間の延長)が不可な点に注意が必要です。

既に持っている株や投資信託はNISA口座に移せない

非課税の対象になるのはNISA口座開設後、新規に投資した商品が対象になります。

他の口座との損益通算ができない

・NISA口座で売却した株が-20万円
・他の口座で売却した株が+30万円
このような場合、相殺して+10万円という扱いにはできません。

損失を翌年以降に繰り越しできない

株などで損失が出た場合、確定申告をすればマイナス分を繰り越すことができますが、NISA口座で生じた損失を繰り越すことはできません。

対象にならない金融商品がある

NISA口座を作れば、120万円の枠内なら何でも非課税対象になるわけではありません。

現行NISAの対象商品

スライドに対象になる商品とならない商品の例を示していますが、ビギナーの方は「株と投資信託はOK」と覚えておけば良いでしょう。



現行NISAは2023年まで
新NISAは「2階建て」方式に

現在のNISA制度は2023年まで。

翌2024年から、新しい建て付けの制度に変わります。

制度変更の目的は、「より長期の資産運用」。現行制度に比べて低リスクの投資を奨励する内容になっています。

最も重要な変更点がこちらです。

新NISAの仕組み

これまでは対象となる金融商品であれば、年間120万円の枠内で自由な取引が可能でした。

新NISAでは、対象商品が「2階建て」に変更になります。

「1階」は、投資信託の中でもリスクの低い商品が対象になり、これを利用して初めて従来同様の「2階部分」への投資が可能になります。

一方、年間の最大投資額は122万円に増額されています。

おわりに

今回は、現行NISAの概要と2024年から始まる新NISAのポイントをまとめました。

新NISAは、現行制度よりも少し煩雑な印象で、ビギナーの人には取っつきにくいかもしれません。
また、株式投資だけをやりたい人は、「1階」に資金を使いたくないという意見もありそうです。

でも安心してください。
スライドに「原則として」と記載したように、例外があります。

新NISA「1階部分」が必須でないケース

  • 既にNISA口座で運用をしている人
  • 投資の経験がある人

これらのケースでは1階部分が必須ではなくなり、いきなり2階部分の枠を利用することができます。
ということで、株中心の投資デビューを考えているなら2023年までのスタートをおすすめします。