2021年11月、ビットコインは過去最高値の約770万円を記録しました。
それから約1年。
ピークアウトした価格は下降を続けた末に、Binance、FTXという大手暗号資産取引所2社による騒動が引き金となり、ビットコインを含む暗号資産相場全般がクラッシュの様相を呈しています。
ただでさえ実体のないマネーゲームと捉えられがちなこの界隈。
これまで近づいていない人にとっては、「やっぱり触らない方が良い」という確信が深まったかもしれません。
しかし状況は、web2.0前夜である約20年前にドットコムバブルが崩壊した時期と酷似しています。
もしもドットコムバブル崩壊と同様の経過をたどるなら、とりあえずWeb3関連に投資(投機?)しておけば儲かる時代が終わった代わりに、これからが「本物」を探し当てる絶好の機会になります。
ドットコムバブルの教訓に学ぶ
まずはTradingView提供チャートから、ドットコムバブル前後におけるAmazonのチャートを見てみます。

Amazonは1997年5月にナスダックに上場後、ドットコムバブルの波に乗って株価は急上昇。しかし1999年12月の5.65ドルをピークに、およそ1年半で90%を超える大暴落を演じました。
ドットコムバブル崩壊の原因の1つとして挙げられるのは、FRBの金融政策です。
98~99年にFRBが実施した予防的利下げ(FF金利:5.50%→4.75%)はドットコムバブルという“根拠なき熱狂”を加速させる一因となり、翌年からは利上げ軌道に回帰。2000年5月には6.5%までFF金利を引き上げ、バブルは音を立てるように崩壊しました。
もちろん、ドットコムバブル崩壊の原因は金利政策だけではありません。
当時はITに通じた投資家が少なかったこともあり、社名に「○○ドットコム」と付ければ資金が集まってしまう環境でした。
それが利上げによるマネーの収縮によって、実体や実力のないドットコム企業は淘汰され、真に革新的かつ堅実な経営をしていたドットコム企業だけが生き延びることができたのです。
さて、冒頭に挙げたAmazonの株価の現在までの推移を見てみます。

Amazonという希有な1社を抜き出しているというバイアスはありますが、ドットコムバブル前後の強烈な暴騰→暴落は「さざ波」でしかありませんでした。
Web3時代のAmazonを探すために
コロナショックによるFRBの緊急利下げとその後の資産バブル、続くインフレ退治のための大幅利上げ。
そして将来楽しみなweb3プロジェクトがいくつか誕生する中、バブルに群がるように沸いてきた正体不明のプロジェクトたち。
「歴史は韻を踏む」と言いますが、まさにドットコムバブルがたどってきた道をトレースするかのようです。
となると、今後はコロナバブル崩壊によるweb3界隈の淘汰が激化する一方、ごく一部のプロジェクトは長期的に莫大な利益をもたらす可能性が出てきます。
では、今後はどんなスタンスで臨むべきでしょうか?
Amazonの長期チャートを見ても分かるように、バブル崩壊後は短期的な暗号資産の売買だけで「億り人」を目指すスタンスは通用しそうにありません。
かといって、有望な暗号資産を買って長期ホールドしておけば良いという時代でもなくなりました。
web3への投資はその特徴から、高度な計算処理能力が求められるマイニングと言わずとも、自らタスクをこなしてトークンを増やしていく事も“投資”の一類型になるのかもしれません。
最後に、まさにドットコムバブル崩壊後の2001年にウォーレン・バフェットが株主に宛てたレターを引用します。
“Only when the tide goes out do you discover who’s been swimming naked.”
-波が引いたとき、初めて誰が裸で泳いでいたか分かる-
投資の神様バフェットですら、初めてAmazonに投資したのは2019年です。
見極めに20年かけろとは言いませんが、短期の億り人あるいはFIRE目線は今のうちに捨てておくことをお勧めします。
※仮想通貨→暗号資産に記載を変更しました(2022年12月21日)