経済ニュース/コラム

ダウ/日経/ドル円の年末アノマリーを検証してみた

11月最後の金曜日「ブラックフライデー」を皮切りに、世界的に年末商戦が始まりました。

一般的に年末は、ブラックフライデーやクリスマス商戦が重なるため、消費意欲の高まりとともに、相場が上がりやすい環境になるといわれています。

これがいわゆる年末アノマリーです。

そこで今回は、ダウ平均、日経平均、ドル円の過去10年分の年末相場をプレイバック。
本当に年末アノマリーが存在するかどうかを検証してみました。

年末アノマリー:検証ルール

今回の検証では、以下のルールで各年の勝敗を判定しました。

・11月初回営業日と12月最終営業日の終値を比較
・わずかでも12月最終営業日の価格が上回っていれば「勝ち」

※TradingView提供チャートを使用

ということで、ダウ平均から見ていきましょう。

ダウ平均の10~12月相場(2010~2019年)

過去10年のダウ平均の年末相場

2010年を起点に、「勝ち→勝ち→負け」のパターンがきれいに3回繰り返されていました。

結果としては7勝3敗。

本当は8勝2敗ぐらい欲しいところですが、「上がりやすいよ」ということは言えそうなので、アノマリー成立としておきましょう。

ちなみに今年は11月の大幅上昇による“貯金”が約3,000ドルもあるので、大きな悪材料がなければ逃げ切り濃厚といった様相です。

判定:ダウ平均に年末アノマリーは「存在する」!

日経平均の10~12月相場(2010~2019年)

過去10年の日経平均の年末相場

パターンはダウ平均とほとんど同じ。
2011-12年だけ勝敗が入れ替わっていますが、ここは東日本大震災の余波を引きずっていたという日本特有の事情かと思います。

こちらも結果は7勝3敗。

今年の展開はダウ平均と同様、上昇分を守り切れるかが焦点になりそうです。

判定:日経平均に年末アノマリーは「存在する」!

ドル円の10~12月相場(2010~2019年)

過去10年のドル円の年末相場

2012年までのレートが1ドル70~80円台というのも恐ろしい話ですが、その推移はというと、けっこうバラバラです。

勝ち判定の年でも、いわゆるラリー的に気持ち良く上昇しているのは2012年、2013年、2014年、2016年だけ。
結果も6勝4敗と「アノマリー成立」とは言い切れないところです。

今年はこれまで円高傾向ながら方向感は定まらず、年末の着地点も見通せない状況です。

判定:ドル円に年末アノマリーは「存在しない」!

おわりに

いかがでしたでしょうか。

過去10年分の検証結果をまとめると、

株価指数は「平時」であれば年末アノマリーが存在する

ことが分かりました。

過去5年間で「負けイヤー」となった2015年と2018年を振り返ってみると、前者はチャイナショック、後者は米中貿易戦争と、いずれも中国がらみの“有事”が主な要因となり相場を押し下げていました。

今年はやはりコロナの動向が相変わらず相場のカギを握りますが、その他にも英国とEUの通商交渉も期限切れ間近。さらに以下のエントリーで紹介したように、相場の過熱感も気になるところです。

たった1つのグラフが「コロナバブル崩壊」を暗示している今の株価と実体経済のギャップを見るうえで役に立つのが、相場の神様・バフェット氏の名前を冠した「バフェット指標」。この指標の単純な数値は既に色々なところで取り上げられていますが、より精度の高い分析結果を見てみると・・・。...

たとえアノマリーが成立するとしても、それはあくまでアノマリー。

ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析ほどの「根拠」にはなりにくいものですから、過信は禁物です。